あなたは「逆選択」を知っていますか?
『“市場における情報の偏りが、消費者にとってより望ましいはずの商品やサービスを逆に淘汰してしまうという経済学上の概念。”』
辞書にはこのように書いてありますが、文字だけでは少し分かりにくいですよね。
なので、「中古車市場」の具体例をお話ししながら説明します。
中古車の状態は素人目では判断が難しいですよね。
良し悪しの判断材料が素人には少なすぎるのです。
逆に、中古車ショップの店員は、当然中古車の状態を判断する材料を持っていますよね。
これは、買い手と売り手の情報が同じではない状態ですよね。
つまり、『市場における情報の偏り』があります。
買い手は限られた情報から中古車の良し悪しを判断しなければなりません。
その判断材料の1つが中古車の販売価格となります。
基本的に中古車の場合って、高い物は質が良いだろうし、安い物はどこかしら不備があるって思うじゃないですか。
で、そこに目をつけた悪い店員が、「質の低い車を高く販売すれば大儲けだな」と考えます。
買い手は判断材料が少ないので店員の下心には気付きもせず、「高いならば質は低くないだろう」と思って購入します。
でも、もし品質が良い車だと思って高いお金を出して買った車が低品質の車だった場合、あなたはどう思いますか?
「中古ショップで売っている車は品質が悪い」って思ってしまいますよね。
つまり、一部の悪い中古ショップのために、中古車市場そのものの印象が悪くなってしまいます。
これによって、ちゃんとした販売店が「良い中古車」を本気で売ろうと思ってもお客さんに振り向いてもらえなくなっちゃうんですね。
一部の悪徳店員が「値段が高くて質の低い車」を販売することによって「高い=質が良い」という保証そのものがなくなるからです。
本当に質の良い中古車を高い値段で売ろうとしても、お客さんは「どうせ高い値段を払っても質は低い」という判断をしてしまうんです。
そして、「どうせ質が低いなら低価格で買おう」という買い手が増え、「本当に質の良い車」は中古車市場から淘汰されてしまうのです。
つまり、本来は市場に増えるべき良質な車が、「高いお金を出しても良い車は買えない」というお客さんの誤解によって消えてしまうんですね。
で、その誤解を作ったのが、情報の偏りを利用して安い低品質の車を高価格で売った販売店ですよね。
これが、『情報の偏りによって、消費者にとってより望ましいはずの商品やサービスを逆に淘汰してしまう』という説明にあたります。
どんな業界も同じなんですけど、一部の悪い人間によって業界のイメージが悪くなり、お客さんが業界そのものから減ってしまうこともあるよって話ですね。
で、中古車の例だと、「買い手側」の情報が不足していることによって『逆選択』が起こってしまうのですが、「売り手側」が情報を不足していることで起こることもあるんですね。
なので、次回はそちらの話をしようと思います。
今日もありがとうございます。
では!
2023.11.10